大学や公的研究機関との交流で大切なのは、自社の研究室をそこに持つ位の展望で考えるということです。
中小企業では研究部門を独立して持つのは容易ではありません。生産部門と直結した技術部門が代行するわけですが、中長期の実験ということになると、また困難です。そこで自社の技術課題に類似したテーマに関心を持っている研究者を全国の大学やその他の教育研究機関、公的試験研究機関等の中から捜し出すのです。そして継続的な情報交換の中から、自社の技術課題の解決策の発見や、場合によっては人材の確保・育成策にも繋げられる交流を行うわけです。
東京・神奈川の両県に跨がる「相模テクノミクス」というグループは、会長を東京都立大学の塑性加工の権威、会員企業は金属プレス関係。大学側は、プレス関係の研究者達5大学が関与、公的機関もその部門です。一般的なプレス加工研究会ではなく、各社の技術課題を毎回発表し、その解決策を検討します。場合によっては大学との共同実験を行います。大学側も現場に則した実際的テーマが判明するために、非常に喜びます。
産学官(公)交流も学や公的機関の側のイニシアチブだけでなく、中小企業側の問題意識で交流すべきです。 |