補助金は、申請者が多く、予算が少なければ当然競争関係になります。従って他社の申請書より内容が良くなければ採択されません。そこで補助金募集の趣旨に従って審査官の目に留まる内容に仕上げなければなりません。
川崎市内のK社は大規模鉄道構内の通信システムを構築・施工している会社です。近年JR側が経費節減と無人化対策を進めているのに対応した、新たな電話集中管理装置の開発に着手しました。電話集中装置とは列車の運行を管理するもので従来は事務机程度の大きさがありました。そこで最近の技術成果を取り込み、大幅に小型化・高機能化を図りながら、低価格化を実現するというものですが、当初の小型化は約半分程度の目標でした。 これに対して、新規性をより強調するために、当面の目標を第一段階と位置付け、将来はもっと小型化するという方向を提案して、「“超”小型電話集中装置の開発」と命名しました。また高機能化と取り扱いの利便性向上による“安全性”の強化も強調しました。 鉄道の運行はとにかく安全性を確保しなければなりませんから、機能アップと安全性の向上を図りながら、コスト引き下げを両立させるという提案です。
見事、採択されたわけですが、この申請書を書くことにより、開発担当者は、改めて自社の鉄道業界の中における存在意義を再確認し、補助金申請が単にお金の問題だけではなく、会社の基本戦略に関わる作業だということを実感したわけです。 |