この「シンガポール交流」は、筆者の所属する(財)神奈川中小企業センターの国際交流政策に多大な影響を与えました。交流会の模様が新聞に大きく取り上げられ、アジアの「中小企業経済圏」という位置づけで財団の名前が出たものですから、財団自身の海外交流推進政策の見直しに繋がりました。
財団の幹部は異グ連の推進してきた海外交流プロジェクトについては、財団事業としてビジネスコーディネータを派遣して支援していることを承知をしていましたが、財団自身が積極的に関与しているという意識が希薄でした。そのため、いざ財団があたかも海外交流を自ら推進していると受け止められることに抵抗があり、とりわけ神奈川県としての仕切り海外交流は(社)神奈川県産業貿易振興協会が行う ということに抵触するからです。
そこでシンガポール交流会の終了後、県と神産貿・当財団の協議が行われ、「基本的推進機関は県及び神産貿、当財団は神産貿からの依頼に基づき実施する」という形に整理されました。しかし元々神産貿が実施していない範囲での当方の関わりですから、県内中小企業者からの相談があった場合、一旦すべての案件を神産貿へ回すのかどうかということです。
神産貿側も、実は体制が極めて不十分なため、特定国との継続的交流を推進することが事実上不可能だということも判明しました。従って、本格的にこの「整理」に従えば、県としても予算や人員を配置しなければならず、当財団のようなコーディネータを一定程度抱えることも考えなければなりません。むしろそういう新しい問題が提起された、ということが今回の重要な教訓でした。
恐らく他府県でも同様な課題があるかと思います。
異業種交流の新たな発展局面と実践事例(71-76) |