本年3月、小田原駅から5分の至近距離にある会場で神奈川県異業種グループ連絡会議としては4つ目の「新産学交流サロン」を開設しました。
小田原城天守閣を目の前にした「西湘サロン」は、地域に開かれた拠点として、商工業者・大学人・行政関係者・金融機関・マスコミ・起業家などが集い、自由に情報交換する“場”として「地域開放型異業種交流会」を狙っています。
国際的な情報交流社会への移行に伴いますます多様かつ異質な情報の交流の場や機会の必要性が増している今日、従来の異業種交流会は、ややもすれば閉鎖的なグループ活動を基本に展開されてきています。
一方、全国各地にある中小企業支援機関は、「ワンストップサービス」を標榜しており、確かに「個別的な相談事」は解決するかも知れませんが、経営者らが自由に出入し、相互に交流したいという希望は必ずしも可能というわけではありません。地域によっては立派な交流室があっても殆ど活用されていないところもあります。神奈川異グ連は、一昨年から㈶神奈川中小企業センターからの補助委託事業として、横浜地域・川崎地域・三浦半島地域の3ケ所で「新産学交流サロン」を開設してきました。
会場や開催日を固定し、僅か千円会費で、6時からスタート、1時間程話題提供があって、7時から8時頃まで簡単なつまみとアルコールでディスカッション。行きたい人はさらに2次会へ行く場合も多い。
本年5月、神奈川県の人口( 882万3千人余)が大阪府(同1千人余)を追い越し、東京都に次ぐ全国第2になりましたが、県西の方面は必ずしも増加しておらず、西湘・足柄上の両地域2市8町で、この10年間の人口増は南足柄市・大井町・開成町の3市町のみとなっています。この地域の中心である小田原市は、人口減少が続き、今や20万都市から19万人台へと落ち込み、他都市からの転入者に対して、新幹線通勤代などの助成措置を講じて「誘致」している程です。西湘サロンでは県西地域に住む大学人や研究者、行政マンらが意欲ある企業経営者・起業家らと交流し、今後の地域発展策を考える場とします。横浜からも参加しています。
第1回(3月)瀬戸建設、第2回(5月)露木木工製作所、第3回(7月)しいの食品といずれも地元企業の社長が経験談や会社戦略を発表しました。瀬戸建設は長らく地元の建設会社としてやってきましたが、建設業界の不況の中、地元密着型の仕事をしたいと考え、高齢者用ホームの建設や提案、事業請け負いなどに新規進出し、着実に成果を挙げています。自らホームを運営しているノウハウを建築工事や設計に活かしているのも新しい提案型企業としての強みです。
露木木工製作所も地元の木工製造業者として「小田原木工」を生産してきましたが、近年の需要の減少に伴い、新たに木の良さを活かして、高齢者の訓練機器の開発に取り組みました。オセロゲームや五目並べなどの従来型のゲームだけでなく、組み立てや組み合わせなど様々なアイデアを活用した遊びを工夫しています。
北欧の幼児用木質玩具を思い出させます。とにかく木質材料は日本人に合っているし、優しい手触りを感じます。
しいの食品は明治27年(1894)椎野松五郎商店として創業し、各種の漬物や塩辛などの製造販売を行ってきました。昭和24年(1949)には「かつおの酒盗」を開発販売し、現在全国の70%のシェアを持っています。「鳥ぎん」という人気の焼鳥屋チェーンもグループで展開しています。「お客さまに愛される商品づくり」の経営理念で、美味しい・健康・客のニーズに応える・食べやすい・原料である資源問題にも配慮、というキーワードで研究しています。
神奈川新聞が「情報バザール」という新しい紙面作りを行っており、県西版の紹介が今回ありました。このサロン情報や参加企業等の紹介など今後の連携が楽しみです。
こうした場(サロン)が神奈川県だけでなく全国各地に無数に開設されれば、全く新たな人的ネットワークが誕生し、地域の再生に貢献出来ますし、防災のネットワークづくりにも役立ちます。いわゆる団塊の世代の活躍の場も広がる可能性があります。
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